| ゆうらす第17号 | ||
| 昨今のロシア演劇 堀江 新二(大阪外国語大学助教授) |
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| このところ毎年ロシアから日本に演劇がやってきている。二〇〇〇年にはモスクワのユーゴザーパド劇場が「検察官」、「どん底」、「ロミオとジュリエット」を持って東京と関西、東北を回っているし、二〇〇一年にはやはりモスクワからポクロフカ劇場が「結婚」、「三人姉妹」、「検察官」を持って東京と関西で公演した。十二月にはモスクワのエトセトラ劇場も、名優カリャーギンとシーモノフの二人芝居、チェーホフの「人物たち」を、東京のシアターXで上演している。今年は富山県にこの十一月、モスクワ・マールイ劇場がチェーホフの「かもめ」を持ってやってくる。さらに来年は5月6月とユーゴザーパド劇場が、問題作「巨匠とマルガリータ」(ブルガーコフ)、「夏の夜の夢」、「かもめ」を持って東京や関西、仙台で大巡業公演をおこなう予定である。
という具合に日本でもロシア演劇を見るチャンスはたくさんあるので、ぜひ足を運んでいただき、ロシアの演劇的伝統をおおいに堪能していただきたいものである。 ところでロシアでは上記の数劇場だけが活躍しているわけではない。たしかにこれらの劇場は今見るに値し、また海外公演に適する最良の劇場だが、まだまだ優れた演劇を生み出している所はたくさんある。また、日本に来る劇場は主にいわゆる「小劇場」が多いが、これはロシアの演劇がこの二〇〜二五年ほどで「様変わり」した現れであり、今見るべきものの多くは「小劇場」の芝居に多い。 モスクワを例に取るならば、毎年最優秀演劇に与えられる「黄金のマスク賞」の常連候補であるフォメンコ工房。これは国立演劇大学の教授を長くやっていたフォメンコの教え子達が作った小劇場だが、演技だけでなく、「ロシア的情感を出す歌謡」の取り入れ方など実に巧みでロシア人好みの演劇だし、「スタニスラフスキーの家のそば」劇場は知的解読を楽しむインテリ好みの劇場である。また、今年モスクワ芸術座の芸術監督になったタバコフが自分の教え子達と開き、一九九〇年代半ばには日本公演もしているタバコフ劇場は、エヴゲニー・ミローノフという達者な俳優を中心に、どたばた喜劇を含む庶民的リアルさで幅広い観客層の人気を博している。 最近は国家や市からの金銭的援助が大幅に減ったため、大劇場も赤字を出さないよう、大きな舞台を使わずに舞台の上に観客席を設けて100人ほどの観客を前に芝居をしたり(中央児童劇場)、バルコニー型の2階席の中央に舞台を作って二階席だけに客を入れて芝居をしたり(モスクワ青年劇場)、経済状況が苦しい中、独立採算になった劇場はいろいろと工夫しているようである。 |
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